写真は鉄で出来ている。

撮らない豚はただの豚だ

通達061 「 EF66 27号機を斜陽に狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 


かつて関西始発の九州ブルトレは彗星、なは、あかつきと豊富に走ってましたが、牽引機はどれもEF65PFばかりでした。

一方、東京始発のそれはさくらやみずほなどがEF66の牽引で憧れたものです。


今や全て過去の記憶にしかありませんが。


さて、吹田機関区のEF66、その中で国鉄から引き継いだ0番台の釜は

現在27号機、30、33、36号機が運用に就いています。

とりわけ27号機は人気が集中しているんです。

 

それは、このブログでもしばしば取り上げているEF65 2139号機と同じく

かつての国鉄カラーを纏っているからに他なりません。

 

今回の更新ではこのEF66 27号機を撮影しようと試みました。

 

実はたまたま撮影できる時間に充当されたので撮影ポイントへ赴いたのですが。

 

 

 

ところが、撮影ポイントへ向かう道がゴト日前の金曜という理由からか、

ドエラい事渋滞しまして中々目的地に着きません。

 

そこで、今回は記録するという点に主眼を置いて、

画像の出来はさておき取りあえず撮影できる線炉端へと向かいました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170227220948j:plain

2017-02-24  223系4連+8連  東淀川ー吹田

 

本線はずっと向こうを走るのでまともには撮影出来ません。

これは露出設定を見るために撮影した練習電。

 

というか、

ここ、撮影地じゃありません。いや、撮影地として勘定に入れてません。

 

金網の高さもかなりありますので、どうしてもフレームに入ります。背伸びして何とか撮影してました。

 

おまけにこの日はファミリーがフェンス越しに鉄道を眺めているので

情景写真になってしまいます。

 

仕方がありません。

何とか間に合っただけ良しとします。

 

すぐに表題がやってきますので、設定を少しアンダー気味にして待ちます。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170227221406j:plain

2017-02-24 配6866列車  東淀川ー吹田

 

これこれ、この塗装ですよ。昔ながらのEF66

前面の飾り金具も装備していて美しい。

 

パンタグラフが菱形で頭上の弁当箱が無ければ完璧国鉄時代です。

 

たそがれ時に差し掛かるほんのちょっと前の時間、

その光線がうまく絵に出来たかな?

 

と、構図はさておき納得しておきます。

 

いずれは長大なコンテナ編成を牽く姿を順光で記録したいものです。

 

 

 

それでは、

この記事をご覧いただい、ありがとうございました!

通達060 「 221系2丁パンタをまたしても狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

いよいよ3月でございます。とはいえまだまだ寒い日が続きます。

早く暖かな日差しの中で撮影したいものですね。

 

このブログも60更新となりました。

いつも訪問していただき、感謝の念に堪えません。

 

さて、本日の更新は通達027以来の221系Wパンタ車を狙いました。

運用が限定されているので撮影する機会さえあれば、

シーズン中はいつでも狙えるのですが、そうなると逆にいつでも来れるから、と

狙うのを後回しにしてしまいます。

今回はようやく再履修のチャンスにこぎつけました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170227214445j:plain

2017-02-21 1236M 221系K15編成 亀岡ー馬堀

 

通達027の画像2枚目と同じく、曇天な上に小雪も降っております。

 

この撮影の後、天気の回復待ちと仕事をこなすべく離脱し、

頃合いを見計らって午後に再度、同じポイントへやってきました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170227214923j:plain

2017-02-21 256M 221系K22編成+223系2連 亀岡ー馬堀

 

こちらは2丁パンタではありません。

が、後ろに2連の223系をつなげた6両で運転されています。

残念ながら、架線柱がつなぎ目に被さってしまいました。

 

お天気は相変わらずの曇りですが、日も差してきました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170227215333j:plain

2017-02-21 258M 221系K13編成  亀岡ー馬堀

 

この時期、30分もすると陽が大きく傾きます。

わずかな時間で暗くなってしまいました。

構図的には申し分ないのですが、逆光ポイントなだけに仕方がありません。

 

まだしばらくは2丁パンタシーズンが残っているので、

出来るだけお天気な午前に狙うよう、心がけたいものです。

 

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

 

 

 

通達059 「 配7993レを狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

今週末に運行されるSL北びわこ号の牽引機がC56に変更された事が発表されました。

 

C56が牽く北びわこ号は昨年11月で見納めだと思っていたので

嬉しくはあるのですが、その一方でC57とD51の状況も気になる所です。

 

古い機関車を動態保存する苦労は大変なものかと思いますが、

ファンとしては早期の本線運転実現を望んでしまいます。

 

さて、通達058で吹田のEF210に牽引されていった空チキ6両は、

京都貨物駅にて機関車を切り離されます。

 

EF210はその後単機で吹田へと戻りますが、今回の記事では向日町へと

回送される空チキ6両を追ってみました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170224204803j:plain

2017-02-19 配7993列車  西大路桂川

 

このチキは向日町でレールが載せられ、工臨として使用される様です。

 

 

この後は場所を移してこの日の締めくくりを狙います。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170224205016j:plain

2017-02-19 223系4連+8連  桂川西大路

 

練習電で露出を合わせます。

 

ポジションを変更して〆に備えます。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170224205150j:plain

2017-02-19 第3095列車  桂川西大路

 

この日の〆は銀釜が充当された3095レでした。

 

背景が逆光で真っ白になるのを避けるべく、

ポジションを変えて釜の背後にマンションが来るようにしたかったのですが…

 

結果として釜のパンタが串り気味にorz

 

編成もこの撮影地だと尻切れですしね。

何とも締まらない〆となりました。

 

 

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達058 「 EF65 2117号機の5087レを狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

 

さて、通達057において撤収した後、場所を桂川駅へと移して撮影再開です。

 

まずはレール輸送の1182レ。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223234008j:plain

2017-02-19 第1182列車  桂川

 

この日は吹田機関区の押太郎ことEF210 300番台が代走しております。

しかもレールを載せていない空チキを6両繋いでおりました。

 

直前まではかなりキツイ日光だったのですが、ファインダーを覗いている間に

雲が日を遮り足回りが黒く沈むアンダーになっちゃいました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223234426j:plain

2017-02-19  223系8連  桂川

 

1182レとは駅の反対側になります。

こちらはド逆光。

 

雲間から日が差すとこのようになりました。練習電のつもりが失敗電に…

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223234853j:plain

2017-02-19 281系6連  桂川

 

先ほどの223系と同じ線路を逆走する形で281系が通過しました。

この線は向日町操車場との入出庫に使用される単線になっていて本線とは分離しております。

 

間もなく通過する5087レもこの線を走行するので、

この日はここでスタンバイ。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223235204j:plain

2017-02-19 第5087列車  桂川

 

この日は撮影場所の新規開拓をしてみようとばかりに、

日頃撮影しない場所で、撮影しないアングルで挑戦してみました。

 

釜の後端から2,3両はコンクリ壁に掛かっています。

上の281系の様に左側の建物や車を構図に入れると釜は抜けるのですが、

悩ましい所です。

もう好みの問題ですね。

 

ここも午前中の時間なら順光で撮影できるポイントになります。

この時間なら側面が陰っちゃいますので要注意ですね。

 

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達057 「 EF210牽引の貨物列車を狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

先週の日曜日は珍しく暖かな鉄活日和で、日中はゆったりと撮影しておりました。

今回の更新はそのご報告を記事と致します。

 

さて、20年ほど前の東海道本線では貨物列車を岡山機関区のEF65一般型、

吹田機関区のEF66,新鶴見機関区のEF65PF型がそれぞれ受け持ち、

貨物列車ごとに形式の異なる機関車を楽しめておりました。

 

が、今では岡山も吹田も、新鶴見にもEF210が配置され、

貨物列車と言えばEF210となってしまいました。

 

しかしながら、同じEF210でも製造時期によって

仕様が異なる部分があったりしますし、何より今後2、30年後も

今と同じ機関車が同じように走り回っているという事もありませんので、

ありふれた日常を記録する、という事にもきっと意味が出てくるのではないかと

思うのです。

 

そんなわけで、とりあえず貨物列車を撮影するためにこの日は

有名撮影地へやってきました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223231048j:plain

2017-02-19 第1050列車  山崎ー長岡京

 

関西始発の九州ブルトレを撮影する地点として昔から知られている調子踏切。

この日はここからのスタートです。

午前中は地域の用事があった為、お昼間際からの鉄活です。

 

岡山機関区のEF210EF65を置き換えるために優先的に新製配置されましたので

製造初期の釜が集まっています。

この102号機も100番台の2両目という事で

パンタが初期の下枠交差型を装備しております。

 

コキの2両目についている青い色がアクセントになっておりますね。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223231738j:plain

2017-02-19 681系3連+6連  山崎ー長岡京

 

露出がオーバーして車両側面が白とびしてしまいました。

これを撮影した後にすぐさま修正。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223231946j:plain

2017-02-19 223系4連+8連  山崎ー長岡京

 

優等列車複々線の外側を走りますが、普通と快速は内側を走行します。

この時前から3両目辺りに野焼の煙が被り始めました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170223232222j:plain

2017-02-19 第1058列車  山崎ー長岡京

 

今度は新鶴見機関区所属の111号機がやってきました。

 

この日は晴れているものの雲がまだらに湧いてお日様を遮ってしまい、

露出設定をその都度変更する悩ましい空模様。

加えて野焼の煙が時間を追うごとにモクモクと昇ってくるので、この撮影を最後に

調子踏切を撤収する事になりました。

 

ココは午前の上りこそ最高なんですよね。

 

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達056 「 8865レの秋山:冬曇りの単機運行 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

 

※ ※ ※

 

 

「第2場内、進行。」

 あまり大きな声ではないが秋山はそう、口にする。

固く、くたびれたモケットに座る尻が窮屈さを感じているが姿勢を変えるのを身じろぎする程度に留めると、「ふんっ」と掛け声を入れながらノッチを戻していく。

夕刻に近い時間、重たく垂れこめた雲に包まれた冬空の下、秋山が乗務する愛知機関区のEF64 1027号機が停止位置へ合わせて停車させる。

思わず吐息が漏れる。終着の吹田の一つ手前の停車場である、京都貨物駅に着いた事で安心し、肩を上下し固まった筋肉を軽くほぐす。緊張が緩む瞬間。

 今日の仕業は単機なので普段よりは緊張の度合いも緩いのだが、それでも運転は気を抜けない。

 

 ブレーキが掛かっていることを再度確認し、空気を入れ替えるために左手の窓を少し開けた。

 2月の、冷たい古都の空気が緩んだ秋山の思考を刺激する。

 

 愛知機関区に集中配置されているEF64 1000番台と呼ばれる電気機関車

 JR貨物の所有する半数以上の機関車がJRに移行してから製造された所謂新型になっても、国鉄時代から継承された機関車はまだ現役で稼働し、今日もこうして仕業をこなしている。

 愛知機関区から週に2度、大阪の吹田機関区までを往復する仕業、B8865とB8864。秋山はこの仕業に従事する機会が最近増えてきた。

 

 新型のスッキリした運転席に対して、EF64の運転席は突き出したマスターコントロールハンドル、ノッチや各種スイッチが配置され圧迫感満載である。

 このスイッチやレバー類のどれ一つとっても不要なものはなく、メカメカした機器を一つずつ確認し手順を踏む操作、アナログ感が実は気に入っていたりもする。

 

 

※ ※ ※

 

 

 秋山が社会人となって3年目に、それまで勤めていた会社からの転職を希望したのは些細なきっかけだった。

 当時、なんとなく見ていたテレビドラマの中で、脇役の俳優が言った「一度きりの人生なんだ、どうせなら人と違った生き方がしたい」というセリフが胸に刺さった。

 やりたいことがあって職に就いたわけではなかった秋山は、その時ふと、子供の頃にドキュメンタリーで見た鉄道の、それも貨物の機関士になってみたいと思ったのだ。

 

 中学で親しくなった友人に勧められ一緒に高校を受験し、高校時代に過ごした仲間たちとその後の進路を共有していた秋山にとって、就職は初めて自身の進路を周囲の影響を受けずに決める機会となった。しかし、結局は周りの様子を見ながら事なかれ的に選択し、結果は何の面白味もない毎日を秋山に提供した。そう秋山は感じている。

 

 前職を辞して機関士として独り立ちするまでに苦難がなかった、などという事は一切なく、というよりは苦難しかなかったのだが。それでも逃げ出す事なく試験を受けて難関を突破し、今の職に従事できているのは辛抱強い性格と同時に、新しい自分に変わりたい、という一念からだった。

 

 機関士の免許を取得して研修を受け、配属された愛知機関区で秋山は孤立した。

 それまで住んでいた地元を離れ初めての土地で初めての一人暮らし。不安はあったが希望の方が大きかった。難関を突破し夢を掴んだ、という自信があったのだろう。

 配属前に研修と講習をうける事で電気機関車ディーゼル機関車の運転については経験値も得ていたし、上からしかモノが言えない現業の先輩たちの不愉快な物言いに対しての反発心もあって、配属当初は生意気な発言が多かったと、当時を振り返ると少し恥ずかしい。

 配属された若手が少なく、尚且つ生意気な言動では孤立も当然だった。

 

 そんな秋山が初めて任された機関車がEF64という国鉄時代に製造された、角ばった車体にゴテゴテと配管が付いている機関車だった。

操作の原理は新型となんら変わらないハズなのに、新型とは丸きり異なる操作盤や明らかに重たいノッチ、無線が聞こえないくらい大きなブロワ―音などに驚き、パニックになった。

 諸先輩方は秋山の鼻が折れる事を見越していたのだろう、それまでの生意気な言動に対しての遺恨を感じさせない態度で(それでも上からな物言いに変わりはなかったが)接してくれた事で、自分の取っていた態度が思い上がりだったと知らされた。

 そこからは持ち前のひた向きさと謙虚さを発揮し、配属から短期間でEF64の運転を難なくこなせるようになったのは秋山の優秀さを示しているのだろう。

 諸先輩方も結果を出した秋山を一目置くようになり、居心地が改善されたのは喜ばしい限りである。

 若手は中央西線重連仕業で先輩の業を学びながら経験を積むことが多いEF64の勤務だが、秋山は一人でこなすB8865仕業に就かせてもらっているというのも信頼されている証左であろう。

 

 

※ ※ ※

 

 

 腕に巻いた時計に目を落とし、ガラス窓の下に掛けてあるスタフと照らし合わせる。

出発の時刻に合わせEF64のモーターが回転数を上げる。

ブレーキ弁を緩め、シュー、シュー、と音を出して確認する。

機関車特有のブロワ―音が徐々に高音になり、出発の準備が整った。

 

ピヒィ!と短く警笛を鳴らすと、ゆっくりとEF64が滑り出す。

 

 ふと、愛知機関区を出発前、吹田の同僚から届いたLINEメッセージを思い出す。

「今晩泊りやろ?黒門の店いこ!たこ焼きで一杯どや?」

  さすがは大阪人、おつまみもたこ焼きなんだと可笑しく思ったのもつかの間、秋山の舌と胃袋は瞬く間にたこ焼きを欲する状態となってしまったのだった。

 

  秋山が初めて大阪でたこ焼きを食べたのはつい最近のことだ。もちろん、たこ焼き自体は子供の時分から食べていたし好きでもあった。ただ、好物か、と聞かれるとそれほどでも無いかなと答えてしまう。つまりは普通のおやつとして饅頭やお餅の仲間のような感覚で捉えていた。

 ご馳走したるわ!と言う吹田の同僚が、アーケードのあるにぎやかな商店街のメインストリートから少し外れた場末の大衆食堂のようなお店に入っていくのを見た時は、正直かなりがっかりした。本音を言うと、ケチ臭いものを食べさせられるのかと不安にもなった。AMラジオが流れる店内でたこ焼きと生中を注文した同僚を恨めし気ににらんだ事を思い出す。

 だが、出て来たたこ焼きを店内に据え付けられた4人掛けの席に腰掛け、一口含んだ瞬間、秋山の世界は驚愕とともに一変した。パラダイムシフト、という言葉は知っていても体験したと実感したのは初めてだった。

 そのたこ焼きは油で揚げているわけでもないのに外皮がパリパリと固く、しかしながら内側はとろけていた。とろけているとしか表現のしようが無い。小麦粉をベースとした「タネ」がまるで蜂蜜の様な甘さやとろみを持って内側に留まっている。

 パリパリ・とろとろっとした初めて味わう食感と共にソースの濃厚な味とタネの甘味に加えて強すぎないタコの弾力、そしてさりげない生姜の酸味。青のりの香り。食のハーモニーとはこういう事を言うのか、とその時秋山は真剣に感動していた。

 それ以降、大阪へ勤務でやってきた際には出来うる限り時間を作ってたこ焼きを食べる事に決めている。吹田の同僚もそれを知ってのメッセージであった。

 

 ここに来るまでの運転中は集中する事で何とか空腹を忘れていたものの、もはや思い出してしまってはどうしようもない。舌の上にたこ焼きのあの味を反芻した唾液が溢れ出そうになるのを堪えながら自分に言い聞かせる。我慢だ、集中だ、あと30分もすれば吹田に着く。

 

 ドドン、ドドンと重たい車体を響かせて京都貨物の短い鉄橋を渡る。

 

「そういえば、あの男性は今日もいるのだろうか。」

 

 進路上に見えてきた桂川橋梁。それを渡った先で左に大きくカーブする線路をイメージしながら秋山はふと思い出した。

いつも、B8865仕業に就いていて見かける男性。どんな顔なのか、年はいくつなのかはわからない。いつも同じ場所に立ち、秋山を、EF64を食い入るように見つめているであろう、あの男性。

 カーキ色のジャンパーに鼠色のズボンという出で立ちは、サラリーマンといった風情ではない。しかも平日の昼日中に佇んでいるのだ。

 

「第1出発、進行。」

 京都貨物駅構内最後の出発信号を確認しながら、もはや習慣と化している喚呼。ほとんど無意識で行いながらも秋山は考える。

 男性の容貌が不明なのは、秋山が見かける姿では常にカメラを構えているからだ。

 だから男性だという事はわかってもどんな顔立ちで、年齢なのかはわからない。

 

 鉄道マニアという人たちがいて、秋山の操るEF64にカメラを向けてくることは珍しくもない。時には駅のホームから身を乗り出すようにしてカメラを向ける人に警笛をお見舞いする事もある、どちらかと言うとあまり歓迎したくない危なっかしい人種だと思ってもいる。

 だがその男性は雨の日も、雪の吹きつける日も同じ場所で、同じ姿勢でカメラを構えている。秋山の乗務するEF64を真剣なまなざしで見つめているのだろう。

 いったいどんな人物なのだろうか、考えた所で答えが出ないまま、秋山の思考にその男性の存在が疼いていた。

 

桂川の人」

 同僚に男性の話をした所、そんな風に命名されてしまった。

「ただの定点観測員なんやろ、気にせんときぃな。」と訳の分からない事を言われたのを覚えている。

 今日も桂川の人はいるのだろうか、いや、きっといるのだろう。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170220001303j:plain

2017-02-18 第8865列車  西大路桂川

 

 築堤を駆けるEF64の窓から右手下側の道路に、通行人の邪魔にならないよう端に陣取ってカメラを構える男性の姿を秋山は捉えた。

 

「今日も居た…」

 わずか一瞬の交差であったが、安堵していた。信号や標識と同じ様な、あるべき所にあるべきもの・居るべき所に居る存在として。

 だからそれは秋山にとって極自然に湧き出た気持ちだった。ちょっとしたいたずら心から。誰も聞いていないから。そんな気持ちからつい。

 「桂川の人、しんこーう。」秋山一人しかいない運転席で、EF64の大きなブロワ―音に紛れながらも確かにその喚呼は紡がれた。

 言ったそばから気恥ずかしくなり、すぐに自分一人しかいない事に改めて気づき苦笑する。

 

 

※ ※ ※

 

  吹田機関区構内は2月の木枯らしが緩く吹き、体感で0度近くまで冷え込んでいるのではないかと思ってしまう。

 

 吹田へと到着した秋山は脱いだ制帽を左手に持つと、結い上げた艶やかな黒髪を軽く撫でてから、運転席を立ち上がった。

 

 学生時代にベースを散々プレイしたにも関わらず、相変わらず細く長い指をタラップ の手すりにかけ、EF64から降車すると線路脇の犬走りへ降り立つ。

 遠目から、吹田の同僚が小さな体で思い切り手を振りながらこちらへと歩いてくるのが見える。

 今夜のたこ焼きが待ち遠しい。

 かしましく開かれる今夜の女子会に、

 脳裏をよぎるたこ焼きの香りに、喉がゴクリと音を立てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達055 「 甲235+甲236 東武鉄道500系(506~508編成)甲種輸送を狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

通達053で触れた湘南色113系、C10編成が吹田工場へ入場してしまいました。

抹茶色になるんじゃないか、と危惧されております。まともに撮影出来ていないのでそうなると心残りです…



さて、撮影地を選定するのは写真を撮影する事と同じくらい大切だと、

私は考えます。

どんなに撮影技術が上達しても、構図や光線を考えて撮影出来なければ

納得いく画像は得られません。

鉄活をするうえで、どこでどんな風に撮影しようかと考える時間も

これまた楽しいひと時なんですよね。

 

今回の更新は通達049において

もったいぶった言い回しをしてしまった例のアレ、が表題記事となります。

 

今回で3度目となる東武鉄道500系Revaty(リバティー)の出場甲種輸送

今回は17日に506編成3両が甲235として兵庫から神戸貨物ターミナルまで輸送され、

翌18日に507,508編成の3両×2本が甲236として同ルートで出場、

神戸貨物ターミナルにて甲235と甲236が併結されての甲種輸送となりました。

これにて導入予定の24両全車が出場した事になります。

 

この日も仕事の時間を調整してネタに合わせてチョイ抜けさせてもらいました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219211759j:plain

2017-02-18 223系4連+8連  桂川西大路

 

まずは練習電。

例によって逆光ポイントではあるのですが、

この撮影の後もう1段露出を上げて

何とか撮影出来そうな露出具合と判断しました。

 

 

で、本番です。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219212008j:plain

2017-02-18 第9866列車  桂川西大路

 

練習電で撮影した画像より少し下げた方が適正露出だったようで、

釜は2139号機のマイルドな前面を綺麗に出せた代わりに側面と

肝心の500系がギラギラしてしまっております。

ちょっと2139号機が充当された事に意識を割きすぎていた様でした。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219212704j:plain

2017-02-18 同上

 

おまけの後追いです。

500系以上に架線柱が存在を主張しております…

 

甲種輸送の為に下部のスカート(排障器)が取り外されています。

スカートが無いと丸みを帯びたデザインが強調されますね。

 

 

500系甲種輸送高崎線熊谷貨物ターミナルまで輸送された後、

秩父鉄道線経由で東武鉄道へ引き渡される事となります。

 

 

今週は北海道の元はまなす用14系客車も東武へ到着したりと、

SL運行に向けて準備が進んでいるようですね。

それ以外にもリバイバル塗装やラッピング、新車投入など

東武からは目が離せません。


所で、

昨日は新鶴見EF65が無動で来阪しましたね。

私は仕事がごっつうハードなので微妙な所です。

ああ、70000系…

 

 


それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達054 「 米原訓練を狙う DD51の横顔 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

 

D51 200につづいてC57 1まで米原から北陸本線で実施される

試運転に向かう途中で故障、試運転中止になったようですね。

 

結局両機ともに米原へたどり着くことなく梅小路へ戻るハメに…

 

何とか持ち直して早期の本線復帰を期待したいです。

 

3月5日の北びわこ号は一体どうなってしまうのでしょう。

 

 

米原と言えば、先ごろ報道されたニュースで

東芝が巨額の損失を出す懸念を伝える見出しが

米原発で損失」とありました。

 

私は素で、まいばら発で損失?なんで?と読みました。読み込んでしまいました。

 

鉄脳って奴ですね(笑)

 

 

 

さて、今回の更新はDD51がネタとなります。

 

オヤジな私は国鉄型車両が大好きです。

客車、貨車、電車も気動車、当然機関車も。

 

近年、私の身近に走るJR西日本の車両は、

大部分がJR化後に製造された車両となりました。

 

同時に国鉄時代から移行してしばらくはあちこちで見かけた客車も

今ではわずか。

 

客車が不要なら当然それを牽引する機関車も不要という事で

旅客釜の保有両数は減少の一途です。

 

しかしながら、工臨や配給など旅客を支える事業用列車では

今でも電気機関車ディーゼル機関車は必要です。

 

機関車が必要なら機関車を操縦する運転士も必要。

 

定年を迎えて現場を去る運転士がいらっしゃれば、

若い世代にバトンを繋ぐ事も重要になってきます。

 

そこで実施されるのが若手運転士養成のためのハンドル訓練。

 

機関車を規定通り操作し、列車を運行させられるよう実地で学ぶ為の訓練で、

実際に列車を本線上で運行させます。

 

ちなみに電気機関車内燃機関を有するディーゼル機関車では要領が異なる為、

別個に講習が必要なんだそうですね。

 

 

 

2017年2月はこのハンドル訓練が

向日町操車場から米原までの往復で設定されています。

 

普段は仕事の都合で撮影が叶わないDD51のハンドル訓練ですが

この日は偶々仕事を休めていたので撮影して参りました。

 

といっても駅撮りですが。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219185540j:plain

2017-02-15 試9971列車  草津

 

通達053で草津を訪れたのはこの列車が停車する為でした。

 

停止位置が離京の真下なので露出がかなり難しいです。

 

しばらく停車するのでその間、撮影会となりました。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219185853j:plain

2017-02-15  同上

 

美しい外版ですがそれもそのはず、検査表記には28-8と記載があります。

昨年8月に全般検査を施工された釜なのですね。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219191921j:plain

2017-02-15  同上

 

1エンド側から。

汚れがほぼありません。綺麗に保たれていますね。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219192049j:plain

2017-02-15  同上

 

編成後尾から。

 

米原訓練ではチキ車が2両連結されておりました。

かわいい編成ですね。

 

工臨返空と言われてもわかりませんよ、これ。

 

このDD51型機関車もJR貨物では絶滅危惧種扱いです。

西日本の機関車も8両のみ、定期運用は既にありません。

 

いつまで見られるのかわかりませんが、現役で走ってくれる限りは

追い続けたいものです。

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達053 「 電気検測車クモヤ443系と現役113系を狙う 」

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。

 

 

それいけ!ア○パ○マ○みたいなサブタイトルです…

 

113系といえば、関東では横須賀・東海道本線の通勤や快速でおなじみ、

関西でも米原から播州赤穂までの長距離を12両で走り抜ける、

一般的な国鉄電車の代名詞でもありました。

 

近年、国鉄から受け継いだ113系JR東日本、東海から姿を消して

今ではJR四国の12両と西日本の140両が残るだけになりました。

四国島内で使用されている113系は前面デザインと塗装が変更され

ちょっと厳めしい面構えですが、

西日本の113系は大まかにみると屋根上の通風機が無くなり

スッキリした外見になったくらいで

昔の面影を色濃く残しています。

 

ただ、色合いは単色になってしまいましたが。

 

 

さて、本日の更新はそんな113系をちょこっと取り上げてみたいと思います。

 

 

この日は病院受診の後、DF200の出場甲種を撮影する関係で

駅撮りをしておりました。

丁度移動のさなかにクモヤ443が電気検測をしている姿が見られるので

高槻駅にて待ちかまえます。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219175158j:plain

2017-02-15 281系  高槻

 

練習電。

画面が暗いですね。露出を修正します。

列車は2両でやってくるのでそれに合わせて構図を調整。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219175517j:plain

2017-02-15 試9362M  高槻

 

まだ少し露出がアンダーでした。

この後は移動します。

DF200の甲種を追っかけするために京都駅へ行きました。

 

するとそこには…

f:id:kyouhisiho2008:20170219175744j:plain

2017-02-15 113系C10編成  京都

 

前面窓枠が金属のものに置き換わったり

通風機が撤去されて屋根上がスッキリしたりといった変化はあれど、

 

今や日本に1編成しか残っていないオレンジと深緑色のツートン、

通称カボチャ色をした113系、C10編成がいるではありませんか。

 

 

思わずカメラを向けましたが、

間の悪い事に中線に緑一色の113系が回送で入線。

ご覧の様な有様となってしまいました。

 

 

 

このC10編成は草津線湖西線の運用に入ることが多いため、

できればそのうち綺麗に撮影したいものです。

 

甲種を撮影した後は、これまた別のネタの為に草津へ移動となりました。

 

 

草津駅でネタを待っていると、草津線運用に就いている別の113系が。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170219180302j:plain

2017-02-15 113系L16編成  草津

 

この編成は外板が4両とも張上げ型に改装された、耐用年数40年を想定して

改装されたタイプの車両で統一されています。

改装後しばらくはカフェオレ色と呼ばれるJR西日本独自のカラーを纏っていましたが

現在では緑一色になってしまいました。

 

抹茶色、などの愛称で呼ばれていますね。

個人的にはこの色合い、割と好きなんです。

 

113系自体、あと何年の間走っている姿を見られるのかわかりません。

103系の方はすでに環状線など廃車が進んでおりますし、

この113系もひょっとしたらあと数年で珍しい昔の電車、

という枠に組み込まれるかもしれませんね。

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!

通達052 「 甲244 DF200 223号機の甲種輸送を狙う 赤いクマさんこんにちは 後編 」

この記事をご覧いただき、ありがとございます。

 

JR北海道が経営に苦戦しているという報道は

皆様もご存じの事と思います。

厳冬期の設備維持に利用者減、尚且つ2016年は自然災害による路線寸断と

弱り目に祟り目が続きます。

 

新幹線開業とはいえ函館まで。

今後の札幌延伸には課題も山積みとなれば明るい話題とは言い切れません。

 

そんな北の大地で活躍するJR貨物の機関車がDF200。

ペットネームがヒグマを想起させるレッドベアなのも

北海道配置を念頭としての事でしょう。

 

この機関車は全機、兵庫の川崎重工で製造されておりまして、

大学生の頃現役鉄だった時代には

2号機、3号機の甲種輸送をEF81が牽引する姿を私も撮影しております。

 

まだ写真がフィルムだった頃ですね。

 

 

さて、本日の更新は前回、川崎重工へ再入場する事となった

DF200 223号機についてのレポートでしたが、

先ごろ2か月半振りに川崎重工を出場いたしました。

そのレポートとなります。

 

 

実は私、この日は病院へ受診をしておりまして、

一日仕事をお休みいただきました。

午後も使っての受診になると踏んでの休みだったのですが

午前中ですべて終わってしまい、

それならばと、撮影に出掛けた次第でございます。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170218002205j:plain

2017-02-15 甲244 第8660列車  東淀川

 

病院への行きかえりに鉄道を利用していたため、駅撮りとなりましたが

鉄に復帰後初めて神戸貨物ターミナルー吹田貨物間の

8660レを撮影する事が出来ました。

この区間は岡山機関区所属のDE10が牽引するため、

いつも撮影したいなぁと思っては諦めていたのです。

 

今回の牽引機はナンバープレートが切り抜き文字の1191号機でした。

ディーゼルの排気煙が格好いいですよね!

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170218002909j:plain

2017-02-15 同上

 

区名札には「愛」の文字が刺さっています。

引き続き愛知機関区での活躍を期待できますね。

 

無動票には甲244の輸送番号も記載されておりました。

 

 

列車は吹田貨物駅で牽引機をEF64に交代します。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170218003115j:plain

2017-02-15 甲244 第9866列車  島本

 

ポジションの都合から日の丸写真になってしまいました。

 

今回のEF64は1034号機。

 

まさか、またしても同じ223号機の甲種輸送を撮影する事が出来るとは、

2016年7月に遭遇した時には思ってもみない事でした。

 

列車はこの後、京都貨物駅にしばらく停車しますので

追い抜いてもう一度撮影を。

 

 

f:id:kyouhisiho2008:20170218003510j:plain

2017-02-15 甲224 第9866列車  京都

 

この日のうちに愛知機関区のある稲沢まで運行されました。

 

 

それでは、

この記事をご覧いただき、ありがとうございました!