この列車へご乗車いただき、ありがとうございます。
今朝はロンチキ工臨を撮影する心算だったのですが、
何故かアラームがセットされておらず目覚めたのは
列車が撮影地を通過する間際の事でございました。
その後は元々家の用事が入っていたので、丸々非鉄で
過ごす事となりました…
さて、今回の更新はそんな訳で先日撮影して
おりました近江鉄道ネタから、その活躍が残り2か月を
切りました変わり種車両を撮影しておりましたので
ご報告申し上げる事と致します。
所で、皆様は万葉集をご存知でしょうか?
浅学菲才な私は学生時代、英語や数学、理科・社会に
並んで国語が苦手でございまして、更に訳のわからない
言い回しで解読を必要とする古文などは
学習意欲の埒外でございました。
古文の授業では、老齢の小川先生が話す内容は全く耳に
届かず、心地よい子守唄となって私を安らかな眠りへと
誘ったのでございます。
そんな私でも「あかねさす…」という文句から始まる
万葉集の歌がある事くらいは知識として一応は存じて
おりました。
2019-03-10 700系(701-1701編成) 太郎坊宮前ー市辺
この5月6日をもちまして運用からの離脱が
発表されている近江鉄道700系電車が、赤神山の麓を
近江八幡へと急ぎます。
あかね号、と愛称を戴く700系はこの1編成のみの
形式でございますので、この編成が除籍されれば
廃形式となってしまいます。
2019-03-10 800系(806-1806編成) 太郎坊宮前ー市辺
練習電は日の出前、主力の800系でございます。
低速シャッターをカバーする為に軽くカメラを
振りながらの撮影でございました。
このポイント、背景にデンと赤神山を据える素敵な
構図なのですが、意外と線路脇に障害物が多くて
架線柱をパスする構図が組めません…
逆に架線柱を気にしなければ素晴らしい場所で
あるとも申せますね。
2019-03-10 700系(701-1701編成) 市辺ー太郎坊宮前
近江八幡からの折り返しでございます。
まるで私鉄特急車の様な顔つきでございますが
新駅舎完成を記念して、同社の彦根工場にて
およそ1年をかけて改造されたのが、この700系で
ございます。
イベント使用にも対応可能な設えが為されている
通勤車両でございますが、車内はクロスシートで
大型連続窓、と豪華な仕様になっております。
種車は資本元である西武から譲渡を受けた
401系という事で、屋根上にしかその面影が
残っていない点など、さぞ大規模改修だった事で
ございましょう。
かつて額田王が詠まれた「あかねさす…」という
歌から編成の愛称として「あかね号」と名付けられた
そうでございます。
前面の愛称板に「あかね」と掲示されております。
2019-03-10 700系(701-1701編成) 市辺ー太郎坊宮前(後打ち)
引退前にもう一度くらい会えればいいな、と
思いながら見送ります後姿。
西武鉄道から遠く滋賀へやって来て見違える様な
姿へ生まれ変わりました700系「あかね号」。
額田王が詠んだ「あかねさす 紫野行き標野行き
野守は見ずや 君が袖振る」というこの歌、
かつて愛し合ったものの別れた元夫が、今も
自分に求愛してくるのを今の夫の部下に見られたら
困っちゃうんですけど…という内容でございます。
袖振りが求愛、しかもかなり露骨な求愛行動だったと
いうのも興味を引く点でございますね。
一説に寄りますと、宴席で詠まれた歌だそうで
ございまして、そう考えますと「私もまだまだ
捨てたものじゃないのかしら」、といった
自信みたいなモノまで感じられます。
歴史を見るに、元夫と今の夫が仲違いして
原因なのかはさておいても、万葉の時代も色々と
ロマンがございますね。
流石にこの車両の引退を巡って乱が起きる事は
無いのでしょうが、皆から愛されます額田王の歌の
様に最後まで溌剌と近江路を駆けて欲しいと
思うのでございます。
それでは、
この列車へご乗車いただき、ありがとうございました!