この列車へご乗車いただき、ありがとうございます。
人生には楽があれば苦もあり、と申します様に
撮り鉄をしておりますと実に様々なラッキーや
反対に残念な事案に遭遇する事がございます。
思い通りに撮影が叶う事もありますが、大体は
その様なラッキーなど当たり前の事の様に忘れ
苦々しい思い出だけが色濃く残ります。
待っている列車がウヤで長い時間、待ち呆けを
喰らったりとか、列車を撮影する瞬間に雲が
陽を一部だけ隠すマンダーラになったり。
或いはショバへ布陣すると土砂降りに遭い
撮影どころでは無くなったり、草木が伸びて
構図が死んでしまったりなど、悔しい思いは
枚挙に暇がありません。
今振り返りましても香りの無いブラック珈琲を
飲まされた様な気分になります。
そんな中でも最も口惜しいのはやっぱり…
さて、今回の更新はDD51が牽くロンチ…では
貨物列車を狙いましたご報告でございます。
日の出は関西だと7月後半には5時台となるので
朝練シーズンは早くも先が見えて参ります。
そんな時期ではございますが、今少し鉄活を
楽しむ為にこの朝も聖地・調子踏切へ参戦して
おりました。
EF510-509が曇り空の下を北陸へ向けて駆ける
場面を捉えます。
太陽は昇ってこそおりますが、厚手の雲がその
威光を覆い隠してしまい露出は今一つ。
ですが現代科学の力により、デジ一だと明るく
仕留める事が出来たのでございます。
有り難や、有り難や。
でも実はこの朝の目的は銀ゴトーではなく
その前に通過する工事臨時列車の方だったので
ございます。
定刻、調子踏切が鳴動して遮断器が下りますと
暫くして彼方から、見慣れたライトがこちらを
鮮やかに照らします。
この朝は奈良転回、片町線内でレールを下ろす
ロンチキの返空が目当てで布陣致しました。
高感度設定にして明るさを確保する代わりに
画質は贄となりザラザラでございます。
が、一応は遠目にケツエプロンのロンチキが
見て取れました挨拶ショット。
よしよし、このままやって来い!
集まった撮り鉄諸兄はファインダーを覗きつつ
静かに見守ります。
所が!
次の瞬間、我々は冷水を背に流されたかの様な
出来事を目に致しました。
ヒタヒタ。ヒタヒタ。
我々撮り鉄を親の仇の様に睨め付けながら
静かに迫って来る、まさかの刺客が現れます。
ロンチキー!うしろ、後ろー!と、つい志村に
声を掛けるコントみたいな気分になりました。
いやいやアレだけ距離が空いていれば大丈夫。
先にロンチキが抜けるさね、そう自身に
言い聞かせて、心中を落ち着けながらいつもの
決め構図へと組み直しました。
実際、この写真を見るだに普電とロンチキには
結構な距離が空いている様に思いますよね。
あぁ無情…コゼットォ!
無慈悲な207系の猛追によって、睡眠を削って
馳せ参じた朝練の成果が、幻と消える結末を
迎える事となってしまいました。
DD51 1192の牽く奈良転回ロンチキは、残念な
事に撮影する事が出来ませんでした。
いやいや、アレだけ後ろに居た普電がよもや
ここまで追い縋るとは…
普電の運転士は恐らく撮り鉄に大切な家族を
奪われた恨みを持っているに違いありません。
ジャンは無実なのに。
居合わせた撮り鉄諸兄と溜め息をつきながら
お口直しに、次に来るゴトー貨物でも撮影して
切り上げましょうか、と示し合わせます。
気分を切り替えまして。
今回の〆。
こちらは期せずして銀釜、EF510-509の登板と
なりましてラッキーなオチを付ける事となった
〆の撮影でございます。
九州に配置されます300番台と違い、挿し色が
無い地味な色合いではございます銀ゴトー。
ですがその地味さこそ、かつては派手な柄の
シートを貼り付けて活躍したカシオペア牽引の
名残りでもありましょう。
3桁貨物機ではレアとなりますHMステーを持つ
EF510-500番台の中でも、2両しか居ない銀の
車体のゴトーさん。
次の全検でも姿形が維持されるのか。
その行く末が気になる
今日この頃でございます。
それでは、
この列車へご乗車いただき、ありがとうございました!