写真は鉄で出来ている。

撮らない豚はただの豚だ

第2490列車 「 273系(Y1+Y2f)の近畿車輌出場に伴う公式試運転を狙う 」

この列車へご乗車いただき、ありがとうございます。

 

 

ワタクシが高校生の時分、古文を受け持って

下さったNという教諭がいらっしゃいました。

 

当時のワタクシから見てかなり高齢に見えた為

恐らく定年後に再任用された非常勤なのでは?

と、今にして思い返します。

 

現代国語は割と得意な科目でございましたが

古文は苦手意識が強かったワタクシ、N教諭の

授業はゆーったりした喋りと穏やかな雰囲気に

甘えて睡眠補修に充てておりました。

 

特に5、6時間目の授業に当たると氏の穏やかな

声音と満たされた腹具合、暖かな気温が弦楽の

様に重なり、ワタクシをいえクラス中を午睡へ

誘う時間だったのを思い出します。

 

N教諭も居眠りする我々を叩き起こすでもなく

無視して授業を進められましたので、案の定

古文の成績は毎回赤点スレスレでございます。

 

ですから古文には未だに苦手意識が強く万葉集

だの古事記だの枕草子だのには、とんと知識が

ございません。

 

そんなワタクシではございますが、出雲国

枕として八雲立つ、という古事記の言葉から

特急やくもが名付けられた事だけは鉄ヲタ

端くれとして存じております。

 

耳なし芳一でお馴染みのラフカディオ・ハーン

も、和名として小泉八雲を名乗られていた様に

出雲に縁を持つ名として「やくも」は相応しい

名称でございましょう。

 

そんな特急やくも、ついに動きが有りまして。

 

 

さて、今回の更新は25日に近畿車輛にて落成し

公式試運転が施行されました、JR西の新形式

273系につきましてご報告申し上げます。

 

伯備線を走り岡山と出雲市を結ぶ特急やくもは

現在、国鉄特急車が定期運用に就く最後の牙城

として注目を集めております。

 

この特急やくも、2024年春より新形式車へと

置き換わりサービスが刷新される旨の発表が

為されまして、先日は報道公開もされました。

 

そんな、全国の鉄さん達が注目する新形式の

特急車両が試運転をするという事で、この日は

ワタクシもお仕事を抜け撮影に出向きました。

 

と申しますのも、試運転は吹田から湖西方面へ

向かう為ワタクシも手軽に撮影可能だったので

ございます。

 

 

2023-10-25 試9574M

ド逆光となりますお昼時、伯備の新たなエース

となりましょう新形式273系が関西を駆けて

行く場面でございます。

 

このショバになんでわざわざ布陣したのか?

より良きショバがあるじゃろうに…と思う方も

いらっしゃる事でございましょう。

 

ワタクシも実はそう思います。

 

が、ここでの撮影は前座でございます。

 

 

2023-10-25 試9574M

本来の切り位置だと北陸特急のサンダーバード

が離合してしまいますので、巻頭コマを慌てて

撮影しておりました。

 

特急車同士の離合場面もまた良きものでは

ありますが、ファーストコマでは編成を綺麗に

抜きたかったのでございます。

 

逆光ですけれど。

 

 

2023-10-25 試9574M

そんな訳でセカンドショバへ移動しまして再戦

致しました。

 

と申しますかこちらへの布陣がホンマの本命。

 

なのですが…お判りいただけますでしょうか?

マンダーラ。

 

この構図、燦々と陽が照り付けていたのですが

列車到来に合わせる様にしてササッと雲が陽を

遮りまして、フラットな露出となりました…

 

 

2023-10-25 試9574M

このショバでの本命コマがコチラとなります。

 

ワタクシは被写体に電線が掛かるこの構図が

あまり好みではなく、普段は広角構図で列車を

引きつけて狙うのでございます。

 

が、陽が射していた際には車両の腹が真っ二つ

となる勢いで架線柱の影落ちがありましたので

それを避ける為にこの構図を選択致しました。

 

結果はご覧の通り、影落ちも何もございません

曇り露出となってしまい、ショボーン

 

このままでは終われません。

 

何とか会心の一葉を獲得すべく、参戦予定の

無かった復路をも狙う事に致しました。

 

 

お仕事もありますので、撮りたいと考えていた

ロンチキを捨てましてその分、試運転を狙う為

早めにショバへ布陣致します。

 

復路のショバは光線が既に山影へと入っており

露出が著しく低い状況でございます。

 

更にはスジも遅く、また定刻よりも10分ばかり

遅延とのお報らせもいただき、より暗い中での

撮影になってしまいます…

 

通常設定での撮影を選択するならばISO爆上げ

ザラザラ仕上げとなりましょう。

 

そんな時、ふと頭に声が響きます。

 

露出が無いならSS下げればいいじゃない、と

マリー・ナガシテネットさんが脳内で囁く助言

に従いまして、いざ一写入魂でございます。

 

 

2023-10-25 試9577M

今回の〆。

 

編成番号Y2のクモロハ側を先頭にした試運転

列車が、名神クロスを駆け抜けて行きます。

 

先頭車客用扉の上部には控えめサイズの

グリーンマークが描かれておりました。

 

側面窓形状が特徴的なコチラ側を狙えたのも

有り難い事でございました。

 

往路の撮影もそうですが、この日は複々線

走る273系、という課題で撮影に挑みました。

 

復路の構図だとここが一番決めやすく、また

被りの懸念もありません。

 

そんな訳で布陣致しましたが直前まで数多の

練習は殆どがおブレさまとなってしまい、

ブレ・即・削でございました。

 

日和ってSSを上げちゃうか?とも迷いましたが

撮影フォームを見直し、素振りを繰り返して

まさに入魂で挑みましたラストショット。

 

挑戦して良かった、

そう感じる出来となりました。

 

 

来月には緑の381系も出揃い、最後の晴れ舞台

が整う事となりましょう伯備線界隈。

 

落成した381系の刺客273系の存在によって

俄かに栄光の国鉄特急車へ忍び寄る終焉を

感じさせられます。

 

ですから有名撮影地なども今後は紅葉の到来が

相まって、さぞ賑わいを見せるものと拝察

申し上げます。

 

ワタクシも参戦の際には事故は勿論、各所で

目を光らせ、てぐすねを引く官憲にも注意を

せねば!と思う夜なのでございます。

 

 

それでは、

この列車へご乗車いただき、ありがとうございました!